内部監査

不祥事暴露に対する意識

従来型の日本社会においては、内部告発や内部監査による内側からの不祥事の暴露については「よくないもの」という意識が根強く持たれていました。
上司の不正を部下が暴くということは、信頼感を損ねる裏切りであり、チームの和を乱す社会人としての常識を知らない行ないであるかのような言われ方もされています。
2000年以降は大企業の不祥事が次々と表に報道されることがありましたが、それらのほとんどが内部告発がきっかけになっていたということはあまり知られていません。
数十年前に比べてだいぶ内部告発に対しての意識は変わってきたとは思えますが、それでもまだまだ当たり前のように行われている不正行為について積極的に是正をしようという気持ちを持っている人は少数派のようです。

内部告発者の保護に関する問題

内部告発を保護する目的で2006年4月から「公益通報者保護法」という法律が施行されていますが、実際に完全に内部告発者が保護されているかというとそういうわけでもなさそうです。
というのは、一応内部告発があったときには通報者が誰であるか捜査の段階で暴露されることはないようにされているものの、実際調査の手が入ったときには企業内ではなんとなく通報者が誰であるかがわかってしまっているからです。
日本的な内輪を大切にする会社組織においては、そのしくみを「おかしい」と思っている人は組織内でも若干浮きがちな存在になっていることも多く、外部に告発をする前に上司や同僚などに相談をしているケースが多いからです。
もっとも内部告発に善意で踏み切る人というのは、純粋に企業内のおかしなしくみを正そうと思ってやっていることなわけなので、まずは社内の人間に働きかけをおこなっていると考えるのが自然です。
しかし社内の人に訴えてみたものの、ちっとも是正がされない。それどころか平然と握りつぶされてしまったとあっては、外部に告発するという手段以外にとるべき方法がなくなってしまうわけです。

管理部門として内部監査に関わる身としての意見では、そのような内部告発者を鼻つまみ者のように扱うのは、全くお門違いとしかいいようがありません。
確かに、習慣的に行われている不正行為について、若手社員が「おかしい」と言ったからといってすぐに治すことができるわけではないことも多くあります。
ですが、内部からの是正を全くしようとせずに放置してしまうことにより、将来的に決定的な企業ダメージに発展してしまうこともあります。