修繕費と資本的支出

建造物などの保障について

管理部門として仕事をしていると、日々耳にするニュースについても自分の仕事上の立場とからめて考えてしまうようになってきます。

最近私が気になったのが、震災などによって倒壊や破損が起こった建造物などに対しての保障についての事例です。

簿記会計には「修繕費」という項目があり、企業内部での活動のときに起こる故障や破損について修理・補修をするための費用の定めがあります。

しかしこの修繕費は万能のものではなく、ときに帳簿上の数字を取り扱おうとするがために実際の利便性を大きく損なってしまうこともあるので困りものなのです。

 
具体的な事例で説明していくと、会社における「修繕費」が適用されるのは、社屋の屋根が雨漏りをした場合や床や壁に破損部分が起きたような場合、または使用している電子機器などが故障をしたときの修理代金です。

このうち企業活動で最も頻繁に現れるのが車に関してのもので、車をぶつけるなどして破損をした場合の修理や車検に出したときの修理費、オイル交換やタイヤ交換といったものまですべてが含まれます。

と、ここまで書くとなんだ当たり前のことじゃないかと思われる方もいるかもしれませんが、この修繕費には一つ大きな制約があります。

大きな制約

それは、修理をすることによって以前よりも状態をよいものにしてはいけないということです。

例えば車にしても、通常であればそのまま壊れず乗り続ければ5年の寿命であったところ、主要な部分を入れ替えたことで10年は乗れるようにしたとします。

すると、これは修繕ではなく「資本的支出」として取り扱われ、他の固定資産の取得があったと同じような取り扱いがされてしまうことになります。

どこまでが修繕でどこからが資本的支出であるかということの判断は簡単にできることではなく、税務調査ともしばしば議論されることもあるようです。

ですが会計上有利にしておくため、わざわざ程度の悪い修理にとどめておくというのは、果たして実務上どうなのだろうという気持になったりします。

 

これが会社規模ならまだよいのですが、先の震災のときはこの考え方がかなり復興を妨げたといいます。

例えば壊れた家屋についても、古い家屋であったものを立て直すと「修繕」ではなく「新築」になるため補助金は出せないといったような考え方です。

同じように壊れた道路も震災以前からひび割れがあったという理由でなかなか新規工事に着工できない事例があったともいわれます。